公益社団法人 東京青年会議所(東京JC)

公益社団法人 東京青年会議所

公益社団法人 東京青年会議所10月例会報告

10月例会報告

Updated date 2017/11/13

1 オープニング動画

ご来場の皆様に、伝統的な「和」のイメージを凝縮したオープニング動画をご覧いただきました。
動画においては、「和」に関わる各業界の著名人が考える「日本人としてのアイデンティティ」を表す言葉が紹介されました。

 

2 講演(大和則夫氏)

森記念財団 大和則夫氏より、「東京2035:輝く世界都市」をテーマとした基調講演を賜りました。
ご講演では、森記念財団が掲げる「2035年に東京を輝ける都市にする」というビジョンについて、詳細お話しいただだきました。なお、このビジョンに向けて現状設定されている、具体的なマイルストーン、ストラテジーについては、時間の都合により割愛されました。

(1) ビジョン作成のプロセス
まずは、ビジョン作成における3つの視点について、ご説明いただきました。
(Ⅰ)計画・検討・予測されている未来
     :発表されている各種データ(人口予測、気候予測、インフラプロジェクト)等から導いたもの
      (データによる未来予測の例)
① 2020年代後半以降、人口の減少や高齢化が顕著となる(他方で諸外国における多くの先進都市では、人口の増加が予測されている。)
② 高温多雨の深刻化
③ 首都高の老朽化
(Ⅱ)テクノロジーの進展や価値観の変化によって起こりうる未来
:テクノロジーに関する有識者委員会、専門家らとの議論から導いたもの
(Ⅲ)海外都市の先進事例研究
 :都市の専門家らとの議論と海外都市における先進事例調査から導いたもの

(2) グローバル化と都市のアイデンティティ
次に、「グローバル化によって、世界の都市が均質化しているのではないか」という問題意識に対する専門家の意見についてご紹介いただきました。
(専門家の意見の例)
① グローバルな都市においてローカルなアイデンティティを守っていくことが重要である。
② 場所に固有のアイデンティティをもたらすものは人間である。
③ 東京の文化的な蓄積を掘り起こせば、それが東京のアイデンティティの一つの骨格になるであろう。

(3) 「未来の東京」の具体的イメージ
最後に、立体動画を駆使しながら鳥瞰的に見た「未来の東京」についてわかりやすくご説明いただき、続けて、未来の東京で生活する人々の目線で描かれたアニメーションを放映していただきました。
アニメーションにおいては、「未来の東京」に関する各小テーマと予測される未来について具体的に描きつつ、テクノロジーの発達によって便利な生活を享受しながらも「Tokyo-ish(東京らしさ)」とは何かについて考える主人公の気持ちが表現されていました。
(アニメーションに盛り込まれた小テーマと予測される未来)
① FUTURE LIVING:人は誰と、どこで、どのように暮らすのか?
・ファミリーユニットの中に存在する特定機能を有したロボット
・音声認識技術等の進化による生活利便性の向上
・IoTの進化による多機能型ウェアラブル端末の一般化
② FUTURE WORK:人はなぜ、どこで、どのように働くのか?
 ・在宅勤務の定着化
 ・3Dプリンタ活用の広範化
 ・オンライン会議の一般化(ただし、Face to Faceの重要性は失われない)
③ FUTURE MOBILITY:人はなぜ、どのように移動するのか?
 ・メンテナンス、セキュリティ目的のドローンの活躍
 ・都心部の飛行空域の拡大、空港の国際線発着回数の増加
 ・自動運転の一般化(ただし、マニュアル車も併存する)
 ・フリート・マネジメントによる道路渋滞の大幅緩和
④ FUTURE ENTERTAINMENT:人はなぜ、どこで、どのように遊ぶのか?
 ・ライブ型エンターテインメントの増加
 ・立体投影技術の進化による魅力的な空間演出の一般化
⑤ BUILT ENVIRONMENT
:2030年代の東京の都市空間はどのようになっているか?
 ・オフィス空間におけるリアルな自然に対するニーズの上昇
・建物の屋上や壁面の緑化、街路樹の増加による緑被率の上昇
 ・交通インフラの老朽化に対する更新、修繕、再構築
 ・気候の熱帯化による集中豪雨の頻度の増加、緑地帯による豪雨対策の普及
 ・都市開発プロジェクトの面的拡大
 ・エリアマネジメントの水平展開、賑わいあるエリアの拡大
 ・歴史や伝統と現代文化を共存させた独自の街づくりの進展

 


3 講演(田瀬和夫氏)

SDGパートナーズ代表取締役CEO田瀬和夫氏より、「持続可能な開発のための目標(SDGs)と人間の安全保障と『和』の強み」をテーマとした基調講演を賜りました。

(1) SDGsの概要
まず、2015年9月、国際連合加盟国の全会一致により採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf参照)に記載される、「持続可能な開発のための目標(SDGs)」の概要について、わかりやすくご説明いただきました。
(Ⅰ) 実質的意味
・SDGsとは、人類の生存戦略の一つの到達点である
・2030年に達成するものとした壮大なる理想
(Ⅱ) 形式的位置づけ
・政治宣言にすぎず、法的拘束力がない
  ・実現するための方法や財源が特定されていない

(2) SDGsと企業との関係
次に、SDGsと企業との関係について、多角的な観点からご説明いただきました。
① SDGsを基礎とした、企業の「守り」のためのルールが構築されている
:SDGsがビジネス上のリスクを回避するためのツールとなっている
② SDGsが企業の「攻め」の戦略に影響している
:SDGsがビジネス上の機会を捉える指針となっている
③ SDGsが企業の経済活動と社会活動の土台となっている
:SDGsがビジネスを継続させるための基盤をつくっている

(3) 企業におけるSDGsの取り入れ方
続けて、企業におけるSDGsの取り入れ方の現状と今後の課題について、詳細お話しいただきました。ここでは、企業が自社の活動をSDGsの掲げるターゲットにマッピングさせるにとどまっているという現状を指摘し、それを踏まえて、SDGsをビジネスモデルに取り込むことの意味と、これにより生じる付加価値について、具体例を挙げながらわかりやすくご説明いただきました。
(SDGsの付加価値3要素)
① ムーンショットとバックキャスティング
(例)
 ・アポロ計画
② 17の目標のインター・リンケージとレバレッジ・ポイント
(例)
・国連世界食糧計画(WFP)の学校給食プログラム
・日本におけるレバレッジ・ポイント「ジェンダー平等」(目標5)
③ 新しいパートナーシップとイノベーション
(例)
・官民連携
・産学連携

(4) SDGsにまつわる最近の傾向
近年におけるSDGsの内部化と企業価値向上の流れについて、その概要とともに、最近とりわけ注目されているESG投資についてわかりやすくご説明いただきました。
(ESG投資の注目分野)
 ・地球温暖化対策への取組み(Environment)
 ・女性のエンパワーメントへの取組み(Social)
・サプライチェーンにおける人権侵害防止への取組み(Social)
 ・企業腐敗・企業不正への取組み(Governance)
また、地方自治によるSDGsへの取組み傾向ついても、具体的事例を交えながらご紹介いただきました。

(5) 「六法よし経営」の提言
「売り手よし」、「買い手よし」、「世間よし」に、「作り手よし」、「地球よし」、「未来よし」を加えた、SDGsに基づく「六方よし経営」についてご提言いただきました。

(6) SDGsと日本の「和」の心
    日本人は、様々な場面で異質のものを「融和」させることを得意としてきた歴史と文化を持っており、日本人は、そのような強みでもって、「人間の安全保障」という観点からSDGsに大いに貢献できるとの考えを述べられました。
具体的には、国連難民高等弁務官等を歴任した緒方貞子氏の「人間の安全保障とは、人間の生にとってかけがえのない中枢部分を守り、すべての人の自由と可能性を実現することである」(保護と能力強化)との言葉を紹介し、これは、すなわち、欧米型の「上流での政策がすべて」、「構造調整が最も重要である」との考え方(保護の考え方)と、日本型の「点から線に、線から面に」、「現場第一、政策は現場から」との考え方(能力強化の考え方)を「融和」させることを意味している、そうであるならば、ここで日本人のもつ強みを発揮することができる、とのお話をいただきました。
また、2030年にSDGsの物理的目標が達成できたとしても、人々は「幸せ(Well-being)とは何か」を追求することになるとの予測のもと、日本人こそがこのSDGsの先にある新たな分野をリードできる可能性がある、との考えを述べられました。

 

4 パネルディスカッション

ご講演をいただいた大和則夫氏及び田瀬和夫氏、並びにフレンチレストラン「KEISUKE MATSUSHIMA」オーナーシェフの松嶋啓介氏をパネリストとしてお招きし、「和の心と真の国際人」というテーマについて、ディスカッション形式でお話しいただきました。コーディネーターは、国際政策室室長森口つかさ君が務めました。
  (ディスカッションの要旨)
i. 国際社会における日本の強みと「和」の心
田瀬)日本人の「和」の心について、単に人に合わせるということであってはならない。前提として自分の考えを強くもつことが必要である。むしろ頑固でいい。それのような精神がなければ国際的に貢献していくことはできない。
ii. 東京の強み
大和)当財団は、グローバライゼーションにおいてヒト・モノ・カネを惹きつけるもの、すなわち「都市の磁力」とは、「都市の総合力」であると定義した。この「都市の総合力」は、具体的には、「経済」、「研究・開発」、「文化・交流」、「居住」、「環境」、「交通・アクセス」の6指標の総合力を意味し、これをランキングにしたのが、当財団の「世界の都市総合力ランキング」。東京は、どの指標でも第1位とはなっていないものの、総合的には第3位という高得点を獲得している。これは、東京はバランスが良い都市だということである。今後、「文化・交流」の指標を高めることができれば東京が世界一の都市となることができるだろう。
iii. 日本人の精神性
松嶋)フランスで暮らしてみて初めて、日本人である自分が、季節の変化に敏感であること、幼少期から自然と共に生きていたということに気づいた。季節と自然の変化を料理に反映させ、それがお客様に認められて、季節の変化に敏感であることが自分の強みであると感じた。
iv. 真の国際人であるために必要なこと
大和)国際社会では、「日本人であること」を意識することはあまりなく、あくまで「個」の力こそが重要である。他人との調和ばかりを考えていてもやっていけない。
松嶋)海外に出て、「自分の発言が日本人を代表するものとなること」を意識し、母国というものを意識し、それを積み重ねていくことが重要である。
v. 次世代のために青年世代がすべきこと
大和)確固たる信念と思想、そして情熱をもつ人になること。自分はそうありたい。
松嶋)世界にネットワークを作り、友人を作ること。
田瀬)自分が頑張り、自己実現する。人生を楽しむ。そのような背中を次世代に見せること。


 

5 委員長提言

国際都市推進委員会委員長渡邊学君が、2017年の国際政策室の活動報告とともに、「国際都市東京の実現に向けた提言」を行いました。