公益社団法人 東京青年会議所(東京JC)

公益社団法人 東京青年会議所

公益社団法人 東京青年会議所所信表明

公益社団法人東京青年会議所 2017年度理事長所信
波多野 麻美

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はじめに

日本人は太古の昔から人だけでなく、自然や物などにも神が宿っていると考え、敬ってきました。相手を慮り調和する「和の心」を大切に、時に対立するものや相容れないものを和解させたり、新しいものと古いものを融合させたりしながら、新たな価値を創造する力を発揮してきたのです。小松川運動やわんぱく相撲のような社会にインパクトを与える運動を築き上げることができたのも、東京青年会議所(東京JC)の歴史にこの和の心が息づいていたからではないでしょうか。時代が変わり、国際社会の一員として生きる私たちが抱える問題・課題は国の境界線を超えており、各国との協力なしでは、解決できなくなっています。私たちは、今こそ美徳溢れる国際都市 「東京」を実現し、和の心を世界に発信して、世界が抱える問題・課題と向き合い、恒久的な世界平和に導いていかなくてはなりません。美徳溢れる国際都市「東京」とは、日本人としての自覚と誇りをもって、積極的に世界と関わる市民が、多様性と調和の重要性を認識し、新たな価値を生み出し成長し続ける都市です。東京JCメンバー自らが、リーダーとして地域と世界をつなぐ先駆者となり、東京の価値を創造することが求められています。脈々と受け継がれてきた和の心を大切に、個人の意識改革と社会システムの変革を行い、美徳溢れる国際都市「東京」を実現しましょう。

日本の青年として

青年としての使命を果たす

JCのない国にJCを創る国際青年会議所(JCI)アジア太平洋開発協議会の活動で、私が目のあたりにしたのは、国を憂い、国を愛する青年たちの使命感に満ち溢れた姿でした。「祖国の発展を実現するのは自分たち以外にいない」と語る青年の目は輝きに満ち、世界との友情を育むことが、自らの成長と国の発展に寄与するという確信をもって、JCIに加盟し、未来に大きな希望を託したのです。それは「新日本の再建は我々青年の仕事である」の言葉で始まる「設立趣意書」に掲げられた創始の志のもと、東京青年商工会議所を設立した青年たちの姿と同じであったと想像します。国や時代が違っても、祖国を想い行動する青年の志は尊く、青年が社会に果たすべき使命は普遍的なものであると私は確信したのです。私たちは、自らの行動によって東京の未来を築く青年の使命を果たしていかなければなりません。

日本人としての自覚と誇りを持つ

“私たちは日本人であることにどれほど関心を持っているでしょうか”
国際社会において自分が何者であるか、誇りを持って語れることはとても重要です。生活と文化の根底に和の心が息づいている日本人である私たちの個性は、他を慮り集団としての秩序・礼儀を重んじると共に、謙虚で節度ある行動や心を込めておもてなしをすることを美徳としていることです。日本人であるという自覚と誇りを持ち、現代に立ちはだかる様々な問題を解決し、明るい豊かな社会を実現していかなくてはなりません。私たちは、当事者として国や地域、社会のために何ができるのかを考え、行動していくことが必要とされているのです。そして、和の心を東京や日本だけでなく世界にも広めていかなくてはなりません。世界の人々が和の心を重んじて行動し、弱者への共感を忘れずに多様な価値観を受け入れることができれば、世界が抱える様々な問題は、協調性をもって平和的に解決されていくでしょう。和の心を行動で示し、世界に広めていくことで、恒久的な世界平和へと導いていくことが、国際社会を牽引する日本人の担うべき役割だと考えます。

和の心を世界に発信する真の国際人へ

東京JCの強みを活かした民間外交の推進

東京JCを設立した青年たちは、「国内経済の充実」を図るために日本青年会議所を設立、さらには「国際経済との密接なる提携」のためにJCIへの加盟を果たしました。これは、日本が国際社会に復帰したサンフランシスコ講和条約締結前のことです。それから60年以上もの間、私たちは「真の国際人」として、JCIの持つネットワークだけでなく、海外諸国の様々な経済団体との交流を重ね、和の心をもって信頼関係を構築し、政府間外交を後押ししてきました。地域・国のために活動を行う世界の仲間との交流は、今日の私たちの運動を発展させるための素晴らしい経験となっています。本年度は、モンゴルのウランバートルで開催されるASPAC・APICC、そしてオランダのアムステルダムで開催される世界会議に多くのメンバーと共に参加し、民間外交を積極的に推進していきます。また、東京JCが長年独自に友好関係を築いてきた中華青年連合会との連携を強化し、政府間外交に左右されない良好な関係の発展に寄与していきます。これまで積み重ねて来た民間外交の歴史をメンバーと共有し、東京JCならではの国際の機会を活用して、国際社会を牽引しましょう。

東京を世界一の都市に

今日の国際環境の変化は目まぐるしく、IoT(Internet of Things)の概念に代表されるヒト・モノ・カネ・情報・サービスが国境を超える中で、経済成長単位としての都市・地域の在り方が求められています。東京が世界一の都市となるためには、地域活性化の起点となる人材や、和の心をもって国際的なつながりを作る人材が不足しており、国際社会を見据えて地域を発展させる「真の国際人」を育成する必要があります。私たちは、東京の未来を担うリーダーとしての自覚と誇りを持ち、「TOKYO AMBASSADORS」(東京大使)として、日本の歴史と文化に息づく和の心を世界に発信し、「TOKYO AMBASSADORS」の輪を世界中に拡げていきましょう。私たちが「真の国際人」としての責任を果たしたとき、東京は世界一の美徳溢れる国際都市として2020年東京オリンピック・パラリンピック大会を迎えることができるのです。

より市民目線の意義ある運動へ

都民意識調査から新たな価値を創造しよう

2016年度は、メンバーの多大なる協力のもと、活動地域である東京23区在住・在勤の約1万名を対象に第5回都民意識調査を実施しました。調査結果から地域が抱える問題・課題の本質を捉えるだけでなく、東京JCが、より社会に求められる運動を行う団体となるために乗り越えなくてはいけない問題・課題を抽出し、検証に取り組むことができました。本年度は、検証した結果を最大限に活用し、5年後10年後、そしてその先を見据えたうえで社会に新たな価値を創造する運動を展開していきます。

世界の未来に向けたロールモデルとなる運動を

現在、わが国は人口減少と少子高齢化に伴う様々な課題を抱えています。平成27年に実施された国勢調査では、大正9年の調査開始以来初めて人口が減少し、我が国の総人口は1億2711万人となりました。平成27年10月1日現在で、生産年齢人口といわれる15歳から64歳の人口が60.6%、65歳以上が26.7%と、世界のどの国よりも急激に少子高齢化が進み、地域社会の活力の衰退と共に、経済成長率の低下が予測されます。少子高齢化は、日本だけでなくドイツやイタリアをはじめとする先進国でも進んでおり、遠くない未来には他国でも現在の日本と同じような状況に陥ることが考えられます。私たちは、今こそダイバーシティ推進を軸とした「国内政策」と、国際化の促進を軸とした「国際政策」の両面において、社会にイノベーションを起こし、経済成長を推し進めていく必要があります。課題先進国である日本の首都東京に住む私たちは、この深刻な事態をただ悲観するのではなく、若者と高齢者が支え合い、地域社会の活力を維持しながら経済成長を支えていくためのロールモデルを、世界に先駆けて示していかなくてはなりません。

多様な個性を組織の強みに変える社会へ

国内では労働環境に関する大きな改革が求められており、政府は「一億総活躍社会の実現」を掲げ、東京都でも多様な個性を持った人々の社会参画を後押しする制度の導入が行われています。このような制度を利用してダイバーシティを取り入れるだけでは、あらゆる異質な要素が摩擦や葛藤を引き起こし、チームの生産性を低下させ、企業にとってマイナス要素を引き起こします。革新性や創造性は、異なる視点、経験やアイデアなどが刺激し合う相乗効果によって生まれるのです。私たちは異なる個性を受容し、互いの強みを活かす思考を行動で示すとともに、風土として根付かせるための意識改革を行っていかなければなりません。社会は多様な価値観で溢れており、異なる個性を受容する機会は数多く存在します。まずは自らが様々な個性を受け入れ、革新的なアイデアや問題解決策を生み出していく思考を身に付けていくことが重要です。私たちはリーダーたる青年経済人が集う団体として既存の価値観にとらわれず、ダイバーシティマネジメントを推進し、経済成長につなげていきます。社会へ新たな価値を生み出し、時代の先駆けとしてすべての個性が活躍できる社会を築いていきましょう。

地区委員会が持つ個性を昇華させた運動展開

東京JCの大きな強みは、地区委員会が存在することです。40年以上にわたる運動を通して、行政・教育機関・地域コミュニティとの密接なつながりを大切にしてきました。その中で築かれた人脈や歴史は、私たちの運動を進めていくにあたって欠かせない財産です。しかしながら、昨今この最大の個性を強みとして活かせているでしょうか。東京JCの組織として運動する要素が小さくなり、東京JCの一体感を失わせてしまってはいないでしょうか。すべてのメンバーが、同じ目的意識のもと一丸となることで、組織の強みを最大限に発揮することができます。地区委員会が持つ個性を、東京JCが社会に対して目指すべき運動へと昇華させることで、東京JCの運動が光り輝くのです。第5回都民意識調査により、それぞれの地区が持つ特有の社会背景とその問題・課題が明確になりました。同じ目的を掲げても各地区の社会背景や置かれている状況は異なるため、運動の手法も異なっていくでしょう。私たちは目的意識を共有しながら、市民目線の運動を構築することで地域社会に大きなインパクトを与えていきます。

将来の自然災害に備えた防災・減災対策を

東京都は直下型地震をはじめとする自然災害リスクが非常に高く、防災・減災対策推進が行われています。東京都の予測によると、2020年のオリンピック・パラリンピック開催時の観客数は1日最大92万人とされており、オリンピック・パラリンピック開催中に自然災害が起きた場合の混乱も懸念されます。被害を最小限に抑えるためには、日頃からの防災・減災に関する人々の意識を向上させることが必要です。東京JCでは、23地区委員会が属する防災・減災推進協議会を設置し、地区委員会がもつネットワークの強みを活かして、地域社会の防災・減災に向けた人的ネットワーク基盤を構築します。災害発生時に市民が主体者となって支え合う、災害に屈しない地域社会を実現します。

ブランディングによる新たな価値の創造

価値ある東京JCブランド確立と斬新なムーヴメント発信を

私たち東京JCには、創始の志と共に、社会にインパクトを与えた運動の歴史があり、明るい豊かな社会の実現のために様々な活動をしています。しかしながら、第5回都民意識調査の結果において、約70%もの都民が東京JCの活動を知らないことがわかりました。東京JCの認知度が低い原因の一つとしては、市民やメンバーの東京JCに対する価値観が定まっていないことが考えられます。市民と強固な信頼関係を築き、私たちの運動がさらに発展していくためには、ブランディングによりその素地を固め、固定概念に捉われない斬新なムーヴメント発信を通して、東京JCの在るべき姿を可視化していく必要があります。メンバーが一丸となってあらゆる分野における感性を磨き、東京JCとしてのムーヴメントを発信し、新たなアイデンティティを築いていきます。価値ある東京JCブランドを確立し、斬新なムーヴメント発信により、組織や運動に対する認知度を高め、社会にとって魅力ある東京JCを実現します。

新たな賛同者とのリレーションシップの構築を

責任世代の青年経済人で構成される東京JCは、個人の意識改革と社会システムの変革を行い、地域を牽引してきました。より社会にインパクトを与えていくためには、目的意識を共有し、東京JCの運動を拡げていく力となってくれる多くの市民の力が必要です。本年度は、これまで関係を築いてきた賛同者のみならず、新たに私たちの理念に共感し、協力を得ることができる外部団体との連携を、積極的に推進していきます。それぞれの団体が持つ強みを活かし合うことで、東京JCの運動の可能性をさらに拡げます。社会へリーダーシップを発揮することで、東京JCのネットワークをより大きく強固なものにして、私たちの運動を進化させていきます。

共感を力に変えた持続的な運動展開へ

公益社団法人として、公共の利益に資する事業を展開する東京JCは、官民問わず私たちの運動の賛同者を増やしていく必要があります。社会にインパクトを与える運動を展開し続けるためには、多くの賛同者と協力体制を築きながら、安定した財務基盤を構築していかなければなりません。安定した財務基盤、東京JCブランドの確立、地域貢献を志すメンバーの結束という3つの要素が揃ったとき、私たちが目指す社会を、私たちの運動から創り出すことができるのです。東京JCメンバーが結束をもって社会を巻き込み、インパクトある運動を展開していきましょう。

社会へ発信する東京JCらしい例会に

例会とは、メンバーが一堂に会し、一体感を持って東京JCの運動を社会へ発信する場です。東京が抱える様々な問題をどのような政策を用いて解決し、市民がどのような行動を取るべきかを、例会を通して発信する必要があります。そのためにも全てのメンバーは、議論を重ねながら参加者の知識を深め、見識を高めるべく公益社団法人である私たちの運動を分かりやすい内容で発信していく事が重要です。その過程がメンバーの成長となり、一体感ある強い組織を創り出すのです。私たちの運動を魅力的に発信することで、市民から必要とされる組織となり、新たなメンバーや賛同者との関係を構築する組織を目指します。

メンバー全員で会員拡大を

東京JCでは、1,000人LOM達成に向けた会員拡大への取り組みを昨年より開始しました。社会にインパクトを与える運動を展開するためには、共に取り組む多くのメンバーが必要です。短期的な拡大目標の達成と、長期的な戦略としてメンバー全員で会員拡大に積極的に参画しながら東京JCの魅力を高めていく土壌を形成することで、1,000人LOMを実現する運動が進んでいきます。そのために、委員会同士の横断的な連携を通してメンバーへ様々な機会を提供し、組織を活性化させることで社会を変革する力強い運動が実現します。一人ひとりのメンバーが、JC活動で培った経験を財産として未来の同志と共有することで、能動的に活動する仲間の輪は拡がり、継続的な拡大運動が可能となります。熱意ある仲間と共に、数を力に変えて社会により大きなインパクトを与えていくことで、さらに東京JCが光り輝くのです。

未来の東京を担う若者の育成を

多角的活動による東京JCメンバーシップの確立を

日本で最も長い歴史を持つ東京JCは、政治経済の中心である首都東京の強みを活かしながら、様々な分野でチャレンジしてきました。多様な能力をもった人材が集まる東京JCだからこそ、多角的な活動が可能であり、社会へイノベーションを起こす力があるのだと考えます。異なる経歴・個性を持つ多彩なメンバーが、それぞれの能力を発揮して共に活躍する場を創出することで、組織としての結束が強くなり、東京JCならではのメンバーシップが芽生え、更に貴重な機会と経験を得ることができるのです。だからこそ、メンバー相互のネットワーク構築や多様な経験を得られる機会を増やし、東京JCメンバーシップを向上していかなければなりません。一人ひとりのメンバーが活動を通してより多くの多様な経験を得られるよう、意識的かつ戦略的な活動計画を立てていくと共に、メンバーの活動がより有意義なものになるための環境を構築していきます。人は人によってでしか磨かれません。多くのリーダーを輩出していくために東京JCでしか成し得ない様々な成長の機会をメンバーに提供していきます。

若者の選択で未来を創る時代に

2016年、選挙権年齢が18歳に引き下げになったことから新たに240万人の国民が有権者として加わりました。総務省「第24回参議院議員通常選挙年齢別投票者数調(18歳・19歳)」によると、東京都の全年齢投票率が57.50%であったことに対し、10代の投票率は57.84%と高い結果となりました。この結果は、全国1位であり、全年齢投票率より10代の投票率が上回っているのは唯一東京都だけでした。しかしながら、20代30代の投票率は依然として低くなっています。少子高齢化が加速する中で若者の投票率が伸びないことは、若い世代よりも中高年を重視した政策がとられ、高齢者の政治的影響を顕著に高める傾向につながります。若者が日常の中で憲法論議を交わし、政治への関心を投票行動に結びつけ、積極的に政治参画する社会を実現することが重要です。そのためには、主権は国民にあるという意識を持ち、物事の本質を捉え、将来を見据えて政策を判断し投票することが求められます。私たちは青少年を対象に主権者意識の確立と政策リテラシーの向上を運動として展開していきます。主権者意識を持った市民が自らの投票行動によって政治を良くしていく社会を築いていきます。

わんぱく相撲大会の深化と進化を

昨年、40周年を迎えたわんぱく相撲大会は全国各地域で234大会が開催され、約4万人の子供たちが参加し、海外でも開催されました。参加した子供たちは、相撲道の持つ「礼節」や「相手を慮る精神」を体感するだけでなく、「勝つことの喜び」「負けることの悔しさ」を体験して、目標を持って努力することの大切さを学びます。本年度は青少年育成事業としてさらに進化するものとするために、わんぱく相撲を通して日本の文化に対する理解を深化させる事業にしていきます。また、わんぱく相撲大会の魅力を多くの地域に拡げるべく、大会参加LOMの拡大を推進していきます。わんぱく相撲精神の素晴らしさを広く伝え、大会開催主旨に賛同する全国の仲間たちを増やし、地域の大人と子供がお互いを慮り、自らが掲げた目標に向かって支え合う地域社会を日本全国へ拡げていきます。

おわりに

青年たちの行動が社会に大きな影響を与え、人々の意識を変えられることは歴史が証明していることであり、私たちも必ずその一人になれるのだと確信しています。私たち東京JCの可能性は無限大です。東京の未来は今日の私たちの行動によって創られます。私たち青年は他人や物事の評価ばかりする評論者でなく、能動的に行動する実践者となるのです。そして、先人たちが大切にしてきた創始の志と和の心を胸に時代に先駆けた運動を行い、明るい豊かな社会を実現していきましょう。

波多野 麻美