

多くの市民の心を動かし、「明るい豊かな社会」を実現しよう
「明るい豊かな社会の実現」を掲げる我々の運動は、誰のためにあるのでしょうか。その答えは、私たちが住み暮らすまちの「市民」のためだと私は考えます。東京青年会議所は76年もの間、社会をより良く変化させるため、年間100以上の運動を、500人を超える会員たちが協力し合い、産官学のカウンターパートと連携し、展開し続けてきました。
いま、「脆くて不安定、先が読めず不合理で、混乱しやすく曖昧な状態」を指し、Brittle(もろい)、Anxious(不安)、Non-Linear(非線形)、Incomprehensible(不可解)の頭文字を並べた「BANI」という概念が注目されています。膨大な情報が飛び交い、価値観や考え方が多様化し、不安が生じているのです。そんな社会の中で私たちの運動は、市民を巻き込み、関わるすべての人に気づきをもたらすものでなければなりません。社会への関心を深め、自ら選択肢を見出し、主体的な行動へと導く運動をつくり上げていきます。私たちが照らす未来への道筋が、市民一人ひとりの力強い行動を生み出すと信じています。生み出す運動に関わる全ての人が共に躍動し、躍進しながら社会を変えていけるという願いを込め、「共躍(きょうやく)」という言葉を掲げました。
本年度、東京青年会議所は2020年度に策定した中長期ビジョンを刷新し、「2025中長期ビジョン」を掲げました。このビジョンは、市民一人ひとりが自らの力や可能性に気づき、自らの意思で社会や地域や人生をより良く変えていける未来への希望を示すものです。私たちはこのビジョンを礎に、産官学のカウンターパートと協働し、多くの市民を巻き込む運動を展開していきます。参画した市民が社会への関心を高め、複雑な社会の中で選択肢を見つけ、一人ひとりの「やってみよう」という意欲と行動を呼び覚ます運動構築が必要です。そのためには社会課題に主体的に向き合う私たちの姿勢が問われます。主体者の言動は周囲を動かし、共感の輪を広げ、協力パートナーを引き寄せます。その姿勢は、東京青年会議所の長年の活動に息づいており、今後も市民や多様なパートナーとのつながりを育むものです。主体者として共に事業を築く共催者を見つけ、東京都や特別区と連携していきます。協力パートナーは中小企業に限りません。地域メディアや大企業と連携し、産官学を越えた多様な人々と共躍する一年といたします。
民間外交が育む、共躍の精神
私たちはいま、日本という枠組みを越え、国際的な視野で行動すべき歴史的な転換点に立っています。複雑化、多様化した社会課題は、一国の努力だけでは解決することが困難な時代となっています。だからこそ、私たち青年が国や文化を越えて手を取り合い、共に考え、行動する「民間外交」の重要性が高まっています。青年会議所は、世界100を超える国と地域に仲間を持つ、グローバルなネットワークを有しています。東京青年会議所としては、姉妹LOMとも長年にわたって関係性を構築し、様々な場面での交流を通じて、民間外交を実践してきました。
2026年は、APICC(東京)、ASPAC(新潟)、世界会議(フィリピン・クラーク)と、アジア圏で主要な国際会議が開催される、稀有な年となります。私たちはこの年を民間外交を実践し、国際的な接点を拡大させる絶好の機会と捉えています。APICCでは、東京青年会議所の総力を結集し、東京の文化、生活といった多面的な魅力を国際社会に向けて発信することで、国や地域を越えた新たな関係構築の接点を創出します。APICCで民間外交の重要性を東京青年会議所の全てのメンバーが認識し、当事者意識を持ち合わせた状態でASPACそして世界会議へと継続的に連携の輪を広げていきます。また日本国内における志を同じくする青年たちとも連携を深め、共躍の精神を全国へと波及させていきます。
地域や文化を越えて未来を共に創る次世代のリーダーとして、そして国内外に共躍のうねりを巻き起こす原動力としての姿勢を東京青年会議所が示していきましょう。
生成AIの社会実践推進による経営の構造改革
日本の企業の99.7%を占める中小企業は、深刻な人手不足と、老朽化した情報システム「レガシーシステム」の更新の停滞という課題に直面しています。経済産業省は、2030年には最大で79万人のIT人材が不足する可能性を指摘しており、放置した場合、年間12兆円規模の経済損失が生じると警鐘を鳴らしています。IT人材不足の問題を抱える中小企業にとって、生成AIは業務構造そのものの再設計を支援する手段として注目されています。
しかしながら、いまだに多くの企業は導入の初動時における迷いや、導入後成果の不充足感を抱えており、日夜進歩し続ける生成AIの有用性と可能性に気づけずにいます。次に私たちが求められるのは生成AIに対して、“何かが変わる”という漠然とした期待感ではなく、“何を変えたいか”という明白な問題意識を持ち、試行錯誤しながら積極的に活用していく姿勢です。近年では、生成AIを基盤としたAIエージェントの進展が目覚ましく、業務上の目的に応じて自律的にタスクを分解・実行し、社内の業務フローや意思決定を支援する新たな存在として注目されています。加えて、こうしたAI技術と人間の直感・感性をベースとした開発アプローチを組み合わせることで、自然言語でのやりとりを通じた柔軟かつ即興的なプログラムの開発スタイルが実現しつつあります。
東京青年会議所は2025年度に中小企業へ生成AIの有用性を示すことで、導入を促進するための運動を行いました。2026年度はさらに一歩踏み込み、AIエージェントの活用と、自然言語を活用したプログラミングスタイルを融合させ、発見した課題に対して誰もが解決の仕組みを設計・構築・実装できる社会を目指します。
私たちは、ひらめきや課題意識そのものが開発の起点となる文化を企業内部に根づかせ、変化に強いしなやかな経営モデルを、ここ東京から推進していきます。実践によって蓄積された知見を地域や業界を越えて広く共有することで、誰もが創造性とテクノロジーを武器に未来を形作れる、次世代型の経営基盤の構築に寄与する運動を興していきましょう。
生成AIによる未来の教育基盤の設計
日本の教育は、国際的に高い評価を受ける一方で、その土台を支える教員の働き方は限界を迎えています。教員の週平均労働時間は60時間を超え、月80時間以上の残業も常態化しており、授業準備や校務、保護者対応などに追われ、本来向き合うべき「思考力を育てる教育」にかける時間が圧迫されています。近年の生成AIの急速な進展は、教員の教材作成や業務効率化といった面で大きな可能性があることを期待されています。
しかしながら教育現場では、時間的余裕の欠如や学校内制度の整備が進んでいないことから生成AIの導入が遅れている状況です。生徒のAI活用が進む一方、リテラシー格差が拡大しています。このままでは、指導の質や評価の公平性が揺らぎ、教師と生徒の信頼関係にも影響しかねません。私たちは、こうした課題に真正面から向き合い、教員を対象とした生成AIリテラシーの醸成を推進します。単に技術を教えることではなく、教員の働き方を変え、心理的余裕を取り戻し、教育の質の更なる向上を目指します。
教育機関・民間企業・行政団体と連携しながら、生成AIパイロット校等の試験問題の作成等といった校務における生成AI利活用事例の共有や実践ブートキャンプ等の導入の取組みを通じて、校務や授業における生成AIの有効性を学校組織全体に浸透させていきます。教員一人一人が変革の担い手となり、教育のあり方そのものを次世代型に再構築する動きを、東京から全国へと広げてまいります。私たちは、未来を担う人財を育てるために、教育現場と学びの文化を創り変える運動を興していきましょう。
しなやかな組織が紡ぐ、運動の軌跡
私たち東京青年会議所のメンバーは、「明るい豊かな社会」の実現を目指し、社会からの要請に応えると同時に、東京青年会議所だからこそ果たすべき視点と責任のもとに社会運動を展開してきました。たとえば、未曽有のウイルス危機に直面した際にも、私たちは運動を止めない選択を行い、2023年、ウイルスの影響が残る中、東京で開催された第72回全国大会東京大会には2万人以上が来場し、構築した運動は全国展開への端緒となりました。これは不確実な時代を切り拓く、しなやかな組織力の証左です。
「しなやかな組織」とは、創始のLOMとしての気概を持ち、柔軟に状況へ適応し、「明るい豊かな社会の実現」に向けて決断を重ね続けながら、運動を継続的に展開する組織のことです。しかし、これまで私たちが積み重ねた運動の内容や情報は散在し、全体としての意味や方向性が見えづらく、背景とその目的、それぞれの行動に込めた想いは社会に広く認知されていません。
東京青年会議所という、しなやか組織が生み出した事業の価値そのものを起点とし、過去の事業を再発見・再評価しながら掘り下げ、情報を再編集しながら今の社会に必要な価値へと昇華させ、社会へ発信する取り組みを行っていきます。歩んできた軌跡を紐解くことで見えてくる運動の狙いやビジョン、そして「明るい豊かな社会」の実現のために行った社会開発運動を構築する姿勢は、時代が変化したとしても揺らぐことはありません。この不変の価値を次世代に継承することは、東京青年会議所にとってのかけがえのない財産になります。
東京青年会議所がこれまで実施した社会運動の中でも、広域的に波及をもたらした事例や社会にインパクトを与えた事例に焦点を当て、運動効果と共に事業の過程で立ちはだかった壁や迷いに真摯に向き合い、挑み続けてきた姿を伝えていきます。権威のあるメディア媒体とも連携を行うなど、効果的な表現手段を用いて社会に発信することで、「私たちの活動は社会運動である」というメッセージを市民に届けていきましょう。
ストーリーで紡ぐ東京青年会議所の価値
東京青年会議所は毎年100を超える社会運動を展開しているにも関わらず、社会から十分にその価値が認知・評価されているとは言えません。私たちの運動は、市民一人ひとりが社会課題に気づき、共感し、実際に行動を起こすきっかけとなる流れを生み出す価値あるものです。展開していく運動が市民にとって、どのような背景を持ち、どんな目的で開催され、どのような未来を描いているのか。こうした背景・目的・狙いを明確にしたストーリーを一つひとつの活動に添える情報発信を行うことで、市民の心を動かし運動の認知を上げていきましょう。
一過性の運動の発信で終わらせるのではなく、発信内容を検証・改善しながら継続的に磨き上げていく体制を整えていくことも必要です。これからの発信には、文章や画像だけでなく、短時間で印象的に伝える表現形式の活用も視野に入れていくべきだと考えます。昨今のYouTubeのショート動画などの手法についても効果とリスクを把握し、動画内容にルールを設けた上で活用し、一人でも多くの目に留まり、心に残り、興味と関心を深められる発信を行っていきます。年間の運動発信を通して、背景・目的・狙いを明確にしたストーリーやショート動画活用を通して市民とメンバーの共感と理解を得ることで、例会や推進運動、各種事業への参加意欲を高めていきましょう。
運動発信の過程では、取り組む運動について徹底的に調べ、理解を深めることが求められます。その熱心な探求こそが東京青年会議所の事業への理解を深める機会となり、結果としてメンバーの意欲向上や組織活性へと繋がります。私たちは、メンバーへ向けた勉強会やプログラムを展開し、2025年に作成した運動の礎となる「2025中長期ビジョン」を単年度制という特性を持つ組織へ浸透を図っていきます。ストーリーで紡ぐ運動の発信と組織活性に繋がる拡充を通して、内外へ東京青年会議所の運動価値を発信していきましょう。
中小企業が導く未来の健康基盤
日本において生活習慣病は、行動改善により予防可能な疾病であるにもかかわらず、社会全体として予防行動が定着しておらず、リスクが高止まりしています。特に「運動不足」はあらゆる世代に共通する深刻な問題です。
スポーツ庁では、目的を持った運動・スポーツを推進し、性別、年齢、障害の有無等にかかわらず多様な人々の運動・スポーツを通じたライフパフォーマンスの向上を目指しており、職場から「働き盛り世代」のスポーツ実施率を向上するため、スポーツを推進する企業を「スポーツエールカンパニー」として認定しています。東京都でも「東京都スポーツ推進企業認定制度」として従業員のスポーツ促進やスポーツ支援に取り組む企業等に対して認定を行っています。
このように認定制度は存在していますが、認定を取得する企業は限定的であり、制度の認知度自体が低い状態にあります。企業数全体の99.7%を占める中小企業が従業員の運動を推進する施策を会社に取り入れることで、多くの働き盛り世代が運動習慣を取り入れることが可能となります。
私たちは企業が運動を導入する意義を明確に伝え、健康づくり支援の専門家や学識経験者と中小企業をコーディネートしながら運動の導入から定着までの障壁を解消します。特に、最初の一歩を踏み出すために、スモールステップでの導入を意識した支援を行います。その結果、企業に所属する経営者や従業員へ運動習慣が根付き、企業の健康力向上が可能となります。東京都の中小企業による働き盛り世代への健康基盤創造に向けた第一歩を歩み出しましょう。
暮らしから育む命の循環
私たちの暮らしは、生物多様性によって支えられています。森や川、海、田畑など多様な生き物が織りなす自然の営みが、私たちの食や水、住まいといった生活の基盤を成り立たせています。しかし今、私たちの便利さを優先した大量生産・大量消費の暮らしがこうした生物多様性を急速に失わせています。自然を守り、未来への命の循環をつなぐためには、生物多様性の損失を止め、回復に向かわせる「ネイチャーポジティブ」の実現が欠かせません。
都市化や娯楽の変化に伴い、私たちが自然と接する機会は減少の一途をたどっています。この経験の消失は、自然に対する興味や関心、環境保全意識を大きく低下させます。また、親が自然とふれあう時間が減ると、子どもも自然と触れ合う時間が減るという負の循環も起きています。東京大学の発表では、子どもの生物多様性保全意欲は、地域の自然や生き物とどれだけふれあったかという経験に大きく左右されることが示されています。つまり、自然との触れ合いは、未来を担う世代の環境意識を育むうえで欠かせない土台なのです。
私たちは、子どもたちが「自然を自らの手で回復する体験」を通して、ネイチャーポジティブの考え方を自然と身につけていくことを目指します。例えば「外来種の問題」では、壊れてしまった地域の自然をどうすれば守れるかを考えることが、生物多様性を学ぶ入口となります。また身近な環境に新しい命の循環をつくることも、子どもたちが主役の自然体験となります。 私たちは、地域の中で身近な生物多様性を再生する過程で、自然体験を創出していきます。この取り組みは地域のみにとどまらず、ネイチャーポジティブというテーマに興味や関心の強い大企業との連携を通じて、運動の波及効果を倍増させる可能性があります。子どもたちの心に芽生えた「自然を守りたい」という思いや経験を広げていくことで、東京都、そして日本全体の市民の環境意識を高める一年としていきましょう。
新たな挑戦で築く、組織基盤の強化
生み出す運動に関わる全ての人が共に躍動し、躍進しながら社会を変えていけるという願いを込めた「共躍」の理念を実現するためには、組織としての基盤強化が不可欠です。わんぱく相撲全国大会は、両国国技館という伝統ある舞台で開催される、東京青年会議所のフラッグシップ事業のひとつです。その圧倒的なスケールと深い社会的意義は、東京青年会議所の影響力と公共性を体現する象徴的な存在となっています。私たちはこのわんぱく相撲全国大会を、未来へ受け継がれるべき価値ある社会事業として捉え、大会の構築段階から業務フローの設計とマニュアル化を徹底することで、大会運営の全体像を明確にし、外部のパートナー企業とのスムーズな連携を可能にしていきます。また運営業務の一部については外部委託による試験運用を開始することで、未来に繋がる持続可能な大会運営体制を構築していきます。子どもたちの健全な育成という大会の意義を、社会全体で未来へと引き継ぐために、わんぱく相撲を仕組みで支える体制を築いていきます。
東京青年会議所の持続的な活動を実現するために組織基盤を強化することは極めて重要です。未来に向けた事業を広げていくため、周囲との信頼関係を築くため、そして組織全体が自ら考えて動ける力を育てていくための、戦略的取り組みです。新たな挑戦として、例会や地区事業への財務・協賛面の支援体制の強化や、将来を見越した組織基盤強化のための財務支援、そして継続的な協力関係の構築に取り組んでいきます。これらは単なる資金確保の枠にとどまらず、東京青年会議所全体の組織体制を強化し、より安定的で機動力のある運営基盤を築くことにつながります。
これら両面からの取り組みを通じて、東京青年会議所の価値と存在意義を社会に示し、中長期ビジョンの「やってみよう」を育む基盤を強固なものにしていきます。そして、事業と運営の両輪を整え、時代の要請に応える持続可能な組織づくりを進めていきましょう。
国際協働による共創ラボ、始動
世界では今、人権や民主主義といった普遍的な価値が揺らぎ、分断と対立が深まっています。都市と地方の格差、自国文化や宗教への過剰な固執等が摩擦を生み、社会の一体感は失われつつあります。私たちは姉妹LOMとの協働を深化させ、「共創ラボ(Co-Creation Lab)」を創設します。私たちは多様な宗教や文化、社会階層が混在する現代において、対話と市民の力で社会課題を解決しようとするしなやかな強さを学び、その姿勢を手本として示す必要があります。それは、今の国際社会に必要な「多様性を包み込む力」であり、私たち東京青年会議所が国際的なパートナーシップを結ぶ上で、最も大切にすべき価値です。形式的な姉妹関係にとどまらず、実際の都市課題にともに取り組み、持続的な関係性と価値創造を生み出す国際協働モデルを確立します。
共創ラボとは、国境や立場を超えた対話と実践を通じて、社会課題の解決を目指す共創の場です。世界各国の青年会議所を中心に、多様な団体や人々と連携し、対話・調査・提言を行い、その成果を国内外に発信します。持続可能な国際都市の実現と、次世代リーダーの育成、そして姉妹LOMとの戦略的パートナーシップの構築を目指しましょう。
共創ラボを通じた国際協働の取り組みは、私たちが大切に取り組むべきテーマであり、東京青年会議所として国際社会に対して果たしていきたい役割だと考えます。共創ラボから、私たちは「対立から共創へ」「分断から連帯へ」という国際社会の新たな道筋を、確かな形で切り拓いていきましょう。
政治的対話の再構築による新しい主権者意識の発現
近年、特に20代の投票率が30%を下回る等、若者の政治離れは深刻化の一途を辿っています。その一方で、ブロックチェーンやマイナンバーを活用したデジタル技術は目覚ましい進歩を遂げ、新型コロナウイルス感染症のパンデミックや頻発する災害は、従来の紙媒体と対面を基本とする投票制度の限界を浮き彫りにしました。日本ではインターネット投票の制度導入は遅々として進まず、関連する法整備も滞っているのが現状です。この現状は、特定世代や特定の地域住民の声ばかりが政治に反映され、結果として民主主義の基盤が揺らぐという深刻なリスクをはらんでいます。
高齢者、障がい者、若者など、投票に参加しづらい人々の「声なき声」を政治に届ける可能性が、インターネット投票にはあります。しかし現状は、インターネット投票について、社会全体で深く議論する機会がほとんどありません。「一体、誰の声を政治に反映させるべきなのか」という民主主義の根幹に関わる問いについて、そもそも社会的な対話が不足しているのです。
私たちはこのような現状に鑑み、インターネット投票という新しい投票のかたちを通じて、民主主義の可能性を問い直す機会を作ります。民主主義の公平性や政治参加の可能性について、様々な立場の人々が建設的に議論できる場を設け、また影響力のあるメディアと連携し、議論の経過と内容を発信し、社会でインターネット投票の議論が広がるきっかけとすることを目指します。
2026年度には、東京23区内の複数の地域で区長選挙が予定されています。私たちはこの重要な機会を最大限に活用し、多様な市民間の対話から生まれた声を候補者に届け、それに対する候補者の反応を可視化する取り組みを進めてまいります。「自分の声が政治に届いた」という実感を積み重ねることが、一人ひとりの主権者意識を呼び覚ます最も強力な原動力となると信じています。誰もが社会の一員として政治に主体的に関われるそんな参加型の民主主義を実現していきましょう。
共催による例会
例会は関係者全員が共に躍動する、東京青年会議所にとって最大の運動発信の場です。躍動の鍵は「共催」。例会での運動発信が、真に意義あるものとなるためには、内向きな満足ではなく、社会全体から「価値あり」と認められることが必要であり、常に“第三者の視点”を持ち、私たちの取り組みが外の世界にどう映るのか当日の瞬間まで磨きあげていきましょう。
公益事業としての例会を、東京都や各省庁、大企業、諸団体等、多様なカウンターパートと連携し、共催等の開催形式を通じて共創していきます。来場者やメディアにとってインパクトのある大企業を巻き込み構築・発信をしていくことで、関わるすべての人に「気づき」と「行動のきっかけ」を与え社会開発を先導します。同じ志を持つカウンターパートと共に創り上げる例会は、新たな出会いと可能性を切り拓く力を持ち、新たな団体との連携や動員の協力といった波及効果が生まれ、運動に広がりを生み出していきます。東京青年会議所の例会は、メンバー全員が参画をし、一体感を持って運動を社会へ発信するために開催されます。メンバーが多く参加する例会にするために、理事や委員長が、開催される室や委員会で例会の魅力を語り、メンバーが参加したくなる仕組みを構築します。
例会は推進運動と一体であり、重要なことは例会によって推進運動の効果を最大化させる仕掛けです。1年間を通じて実行される運動の中で、例会をどう位置づけるかを明確にしなければなりません。例会に至るまでのプロセスは運動の一部であり、その歩みの一つひとつを可視化し、発信していくことが、社会への影響力を高めていくのです。私たちが本気で例会を構築し、社会へ発信するその姿勢は、メンバー自身の成長を促し、本業では得られない学びやスキル、そして一生の仲間との出会いをもたらします。そうした例会は、参加するメンバーの意欲を向上させ、室や委員会の活動をより活発にさせます。東京全体が共躍する例会創りを実行していきましょう。
社会課題に挑戦し続ける
初代理事長の三輪善兵衛先輩は「中央集権的でなく、ローカルから始めるという謙虚な気持ち」のもと青年会議所を東京に立ち上げ、「各地の市民が、各地のJCを必要としたからできたのだという自覚を、メンバーが持って然るべきだ」と語りました。東京青年会議所が23地区委員会を設ける意味は、こうした創始の意志に通じる「東京23区の地域社会とつながりを密接にする」ことが出発点です。地域に密着し、地域課題に向き合い、事業を通して多くの学びを得ることで、東京青年会議所の活動は地域に根ざした価値ある運動として発展していきます。そしてその学びを得たメンバーが、やがて東京全体、そして日本のビジョンを胸に、社会課題へ果敢に挑戦していくのです。
未来においても、「社会課題に挑戦する」という東京青年会議所たらしめる価値を守り続けるために、その価値の根幹である特別区に紐づいた地区委員会の在り方について、地区委員長の経験者を中心に議論し、東京青年会議所として指針を設ける必要があります。メンバーが意欲的に活動する地区委員会とはどのような運営がされているのか、その視点に立ち、過去と現在を検証します。地区メンバーによる属人的な運営手法から脱し、テクノロジーが発展した今だから可能な事業構築方法と併せて、在るべき地区委員会の運営について明らかにし、後世に残します。単年度制という制度の特性を活かしながらも、継続的な運営体制を築くためには、地区委員会の確かな運営と活動が不可欠です。23という地区委員会の水が絶えず湧き出し、合流し、やがて大きな力になる状態が続いていく。ビジョン実現への道を共に切り拓いていきましょう。
誇れる組織、誇れる仲間
東京青年会議所は「2025中長期ビジョン」を策定し、我々は2030年のビジョンに向かって歩み始めます。実現するには志を同じくする仲間を増やすことであり、これは極めて重要な基盤作りです。事業をさらに磨き、社会に対して確かな成果を届けていくためには、多様な価値観や経験を持つ新たな仲間との挑戦が必要です。志を同じうする者、相集い、力を合わせるこの団体の魅力は、年齢関係ない組織マネジメントや、行政や企業の代表者との渉外を実地で経験できることであり、その経験が明るい豊かな社会を先導する人間に育てあげます。この魅力を語り、東京青年会議所が関係を築いてきた諸団体、行政、OB、PTA等へ、入会候補者の紹介を徹底して依頼することを組織で推進していきます。また入会後のさらなるポジティブチェンジを促す仕掛けとして、新設するアワード委員会が、東京JCの運動をJCIや日本青年会議所主催のアワードに挑戦する機会を提供しメンバーの参画を促します。
アワードで意義ある発信を目指す過程では、事前に各設問を分析し、事業や運動の方向性が、社会開発というJC運動の本質に沿っているかを考え抜く力が求められます。このプロセスを通じて、人材を育成するとともに、日本そして世界で社会開発を先導しているJCの事業を学ぶ貴重な機会を得ることができます。本取り組みを通じて、社会開発に向けた理解と実践力を組織全体で高め、アワード挑戦の経験を共有・活用し、社会開発運動の質を更に向上させる仕組みづくりに挑戦します。東京の運動が日本、そして世界に展開されることを目指して。Driven by Citizens, Powered by Challenge──明るい豊かな社会へ導く社会開発運動を、アワードへの挑戦とその成果によってさらに発展させましょう。
継承と変革の交差点
「共躍」の先駆者であるためには、共に手を携える市民に対し伝えるべき私たちの価値を正しく理解・継承するとともに、社会の要請に応える存在となるべく変化に適合する努力を怠ってはなりません。これらの取組みが「共躍」の先駆者としての運動を可能とする盤石な組織運営の礎となります。
私たちの価値を伝えるには、まず私たち自身がその価値を自覚し、誇りをあらたにしなければなりません。長年にわたり紡がれる東京青年会議所の理念と磨かれた先輩諸氏の活動精神こそが、私たちの拠って立つアイデンティティであり、ロイヤルティの淵源でもあります。組織運営において規律遵守の文化として顕れるこうした価値を継承し一層育むために、東京青年会議所の組織人として求められる管理能力や定款・諸規則、基本資料に関する研修を充実させます。また、出向は、個人としては東京青年会議所の価値が相対化され、翻って帰属意識が高まる重要な機会となり、組織としてはナレッジの共有・活用を通じて組織力の強化に資するものです。そのため、出向によって蓄えた経験をLOMに還元する動機付けを高める機会として出向者支援をより強化します。
他方で、価値観の多様化や社会環境の変化に対応し、変革に向けた不断の努力も不可欠です。JC活動において一見不合理や無駄に見える事柄の背後にも理由と由来があり、これを感得できる者にはその負荷は人格形成や能力開発に裨益します。しかし、個々人の感受性に依存せず、積極的に活動に価値を見い出せる機会を組織として作らねばなりません。その一環として、綿密な事前準備と高度な規律意識、全ての議題に対して当事者意識と能動的姿勢をもって理事会等の会議に臨む気風を高め、会議時間の短縮と濃密な議論を両立するとともに、生成AIを用いた審査等の合理化への挑戦は必至となります。テクノロジーを生産性向上実現のための道具として活用しつつ、これにより生じた余白に人の感性を注ぐことで修練の質を高め、個々人の実践的な能力向上につなげます。また、若年層の経済的負担軽減措置や入会可能上限年齢等の課題を慎重に吟味し、持続可能な組織運営に向けた先鞭をつけることを躊躇しません。
こうした取り組みを通じた強固な活動基盤の構築のうえに、魅力的な社会開発運動を展開することで、社会からより一層の信頼を獲得できる組織を目指します。
挑戦こそ、若き青年の特権
「JC会員が重宝がられているのは、若者達の挑戦という精神がぶつかり合って生まれる火花の中でできた結晶を身につけている成果なのです。」初代理事長の三輪善兵衛先輩の言葉です。青年としての若さは既存の価値観や社会の枠に囚われず、自由な発想力と行動力を生み出します。既存の枠組みに縛られず、目の前の「当たり前」を跳躍台として、次なるステージへ踏み出しましょう。果敢な挑戦こそ、私たち青年の特権だと考えます。



