2026-03-25

- 東京JCは社会を動かすリーダーを育てるトレーニングジムである。
- メンバーは、地域の課題を解決するための活動(運動)の企画から実行までの、タフな運動構築プロセスを経ることで、リーダーシップが鍛え上げられる。
前回のコラムでは、このような話をしましたね。そんな私たちの活動の様子をお話しすると、驚かれることがよくあります。
「お金がもらえるわけでもないのに、そこまでやるんですか!?」
「仕事以外の時間を使って、そんなに本気で…すごいですね!」
一見すると、対価のない活動に、信じられないほどの時間と労力を投じているように映るかもしれませんね。
しかし、東京JCが取り組んでいるのは、ボランティアではなく「社会開発運動(以下、JC運動)」なのです。
確かに、私たちの活動は個人の報酬にはつながりません。ですが、社会の構造や課題を分析し、行政や企業、市民と手を取り合いながら、課題を解決するための新しい仕組み作りに取り組むJC運動。その活動は、将来的な社会全体の利益へと、確実につながっています。
私たちが得る真の報酬は、この“社会をより良くする仕組みを作る”という実践プロセスから得る経験そのもの
ここで磨かれる、“課題の本質を見抜く力”や“立場の異なる多くの人々を巻き込む力”は、やがては、自分自身のプライベートの充実や社業のさらなる発展にもつながっています。
そして、東京JCには、行政でも、営利企業でも、あるいは他の団体でもないからこそ果たせる“独自の役割”があり、その挑戦の過程こそが、何ものにも代えがたい「人材開発(リーダー育成)」の場となっているのです。
本コラムでは、私たちがJC運動の先に何を見据えているのか。他者との違いを紐解きながら、東京JCだからこそ果たせる役割と、私たちが目指すべき真の目的について詳しくお話しします。
ボランティアは魚を与え、JC運動は釣り方を教える

私たちは、JC運動を説明する際に、よくこうお伝えします。
「営利目的ではありません。けれど、ボランティアでもないんです」
確かに、ボランティア活動もJC運動も、“困っている誰かのために汗を流す”という尊い精神は共通していますが、その “目的” には決定的な違いがあるのです。
例えば、目の前にお腹を空かせた子どもがいたとします。
その子どもに
魚を与えるのが “ボランティア”
魚の釣り方を教えるのが “JC運動”
です。
お腹を空かせた子どもに、お腹を満たすための魚(=今、必要な支援)を与えるのも、緊急時には欠かせない活動です。
一方で、その支援がなくなったその先を見据え、その子どもが自立してお腹を満たし続けることができる状態になるための 環境や仕組み を作らなければ、その課題は解決したとは言えません。
単に手を差し伸べるだけでなく、課題の根っこを見つけ出し、行政や他団体も巻き込んで、社会のルールや常識を変えていく。
この “仕組みづくりを通じた社会へのアプローチ” こそが、ボランティアの枠を超えた東京JCならではの社会開発運動であり、目指すべき在り方なのです。
また、JC運動で作り上げた仕組みを、私たち東京JCがずっと抱え続けることはありません。私たちは“単年度制”という、役職や組織の役割が毎年リセットされる極めて珍しい仕組みで動いています。
だからこそ、私たちが生み出した仕組みが本当に街に必要だと証明されたら、それを速やかに行政や他団体、企業へと移管していきます。
いわば、私たちは一年という限られた時間の中で、社会をより良くするための“社会実験”を繰り返している存在なのです。
大人が本気で「詰められる」狂気の議案作成プロセス

東京JCは“公益社団法人”という非営利団体。
だからこそ、“未来のために今やるべき”でありながら、採算性やリスクの問題で行政や企業がまだ手を出せていない領域に、誰よりも早く切り込むことができる。
これこそが、我々の存在意義です。このJC運動を形にする際、メンバーたちは一つの問いを突きつけられます。
「行政や営利企業、他団体ではなく、なぜ、東京JCがやる必要があるのか」
社会課題の根源に迫るべく、関連する行政や企業、市民へのヒアリング調査や、内閣府の統計データなどの客観的なエビデンスとの突き合わせを行い、東京JCがやる必然性に対して、誰もが納得できる明確な根拠を導き出していきます。
そして、実施に至る背景、目的、企画の内容など、JC運動の詳細を“議案”という書類に落とし込んでいくのです。
しかし、ここからが本当の戦い。
「社会の利益になる理由をもっと論理的に説明してください。」
「エビデンスが弱いです。客観的な事実を元に必要性を証明してください。」
「社会を動かす責任を自覚し、もう一度練り直してください。」
一つの議案が承認されるまでに、東京JC内部の各種会議にて30項目を超える厳しい指摘を受け、数十回と修正を重ねることは珍しくありません。
突き返されては議論を尽くし、必要に応じて再調査を行う。一つのJC運動を世に出すために、メンバーは数ヶ月から半年もの時間をかけて、議案を磨き上げるのです。
この逃げ場のない真剣勝負を勝ち抜いた議案だけが、JC運動として実施することを許されます。
仕事でもない、1円の報酬もない活動のために、いい大人がここまで追い込まれ、徹底的に思考力・プレゼン力を鍛えられる場所はなかなかありませんよね。
この狂気とも言えるプロセスこそが、普通の大人を、何があっても動じない本物のリーダーへと変貌させる“最強のトレーニングメニュー”なのです。
では、そこまでして練り上げられた運動は、社会にどのような結果をもたらすのでしょうか。
だからJC運動は社会に根付く。一過性のイベントで終わらせない“ムーブメント”へのこだわり

「素晴らしいイベントでしたね!」「頑張りましたね!」
そんな温かい言葉をいただけるのは、本来とても嬉しいことです。
しかし、メンバーにとって、その言葉だけで終わってしまうのは、100点満点ではありません。
なぜなら、私たちのゴールは、自分たちが褒められることではなく、社会を1mmでも動かすことにあるからです。
- 「自分たちの街を、自分たちで良くしていこう!」と自発的に行動する「アクティブシチズン(=自ら地域や社会の課題を見つけ、解決に向けて主体的に努力し、周囲の人々も巻き込みながらポジティブな変化を生み出していく市民)」が増える
- 「自分たちも協力したい!」という協賛企業・団体が現れる
- 「事業を引き継ぎたい!」と企業や団体が移管先として手を挙げる
こういった動きがあって初めて、JC運動は成功といえます。
特に、事業の移管(=引き継ぎ)は、私たちが最も情熱を注いでいるゴールです。
私たちが作った課題解決の仕組みが、より専門性や継続性のある企業や団体に引き継がれ、街の資産として育まれていく。当たり前の文化として地域に根付き、明るい豊かな社会の実現に貢献し続けることができる。
そんな“社会が自走し始める状態”を作り出すことこそが、ボランティアを超えて、社会に“ムーブメント(運動)”を起こそうとする私たちの真の目的なのです。
実際に、私たちの手を離れた後も地域に長く根付くJC運動がいくつも生まれています。
次回のコラムでは、人々の生活の一部として“当たり前”に根付いている、“東京JCが生み出した運動”をご紹介しましょう。どうぞお楽しみに!



