2026-11-05

2023年10月、東京ビッグサイトを中心に“第72回全国大会東京大会”が開催されました。
全国大会とは、公益社団法人日本青年会議所が主催し、日本全国のLOM(ロム=各地の青年会議所/2026年9月時点で665LOM)の中から誘致に手を挙げ、選ばれたLOMが主管となって開催する、青年会議所最大規模の事業です。
通常、1年単位(単年度)で事業を動かす青年会議所において、主管に決まったLOMは約3年をかけて緻密な準備を進めます。
一言で言えば、全国大会は “1年間の運動の総括と、次へとつなぐ継承の場” です。
全国のメンバーが一堂に会し、1年間の運動の総括や地域課題解決の成果共有、メンバー間の交流をおこなうほか、40歳で卒業を迎えるメンバーを送り出す“卒業式”も開催。これまでの活動を振り返ると同時に、積み上げてきた想いを未来のメンバーへ引き継ぐ大切な節目となっています。
2023年10月6日(金)から8日(日)までの3日間で行われた第72回全国大会は、東京青年会議所が主管を務め、32年ぶりに東京で開催されました。テーマに“Bridge over the dreams(夢の上に架ける橋)”を掲げ、全国から約12,000人の青年会議所メンバーが結集。市民向けイベント“東京ミライフェス”には2万人以上を動員しました。
しかし、開催地が決定した2020年から大会までの3年間はまさにコロナ禍。きわめて異例で過酷な状況下での挑戦だったのです。
本コラムでは、コロナ禍でも開催に踏み切った東京青年会議所の想いと、全国大会東京大会が社会とメンバーに残した価値について、詳しくお伝えします。


有明GYM-EX(左)、東京ビッグサイト(右)にて開催。ソーシャルディスタンスや入場制限等、緊急事態宣言が出た場合の対応も検討しながら準備を進めました。
内輪のイベントじゃない。全国大会が持つ“意義”とは?
日本全国の青年会議所メンバーが一堂に会する全国大会。そう聞くと、「青年会議所の大型内輪イベントなのか?」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。
全国大会とは、下表に示す“五益(ごえき)”と呼ばれる明確な意義を掲げ、全方位により良い変化をもたらすために構築されるプロジェクトなのです。

この五益の中で、最も特徴的なのが“地域益”です。
全国大会は、本来、地方都市で開催されることが一般的であり、推奨されています。なぜなら、全国から数万人規模の人とお金が集まることで、開催地に大きな経済波及効果が生まれると同時に、地域の魅力を全国へ発信できるからです。
3年以上の膨大な準備が必要であるにもかかわらず、各地のLOMが大会誘致に手を挙げる背景には、自らの成長の機会を得ることはもちろん、「自分たちの手で地元を盛り上げ、地域に確かな利益を還元したい」という強い想いがあるのです。
創始のLOMとしての誇りと責任を胸に、コロナ禍の東京での全国大会開催を決意
では、第72回全国大会は、なぜ大都市である東京で開催されたのでしょうか。そこには、世界を襲った“コロナ”という未曾有の事態と、東京青年会議所が背負う“宿命”がありました。
2020年以降、コロナ禍により、日本全国の青年会議所は対面活動やイベントの自粛を余儀なくされました。「大会どころか日々の社会開発運動(JC運動)※すら、もうできないのではないか…」そんな重苦しい雰囲気に包まれていたのです。
※社会開発運動(JC運動)の詳細については、こちらのコラムをご覧ください。
『「ボランティア」で終わらせない。東京JCの「社会開発運動」が、街の意識と仕組みを変えるムーブメントになるまで』
その暗い状況下で立ち上がったのが、東京青年会議所でした。東京青年会議所は、1949年に日本で初めての青年会議所として設立された“創始のLOM”です。
前例のない状況において、創始のLOMである東京青年会議所が果たすべき役割は、先頭に立って社会を前進させることにありました。そこで、全国大会はもちろん、23区各地区の年間事業も決して途切れさせず、厳しい状況下であってもJC運動は継続できることを自らの行動で証明しようと決意したのです。
東京青年会議所は、創始のLOMとしての誇りと責任を胸に、日本社会に、そして全国の仲間に希望を届けるべく、第72回全国大会東京大会へと挑みました。

“東京から地方へ”地域還元を追求した大会プログラム
第72回全国大会東京大会のプログラム構成には、“東京から全国の地方へノウハウや価値を還元する”という強い意志が込められていました。
全国から集まった約12,000人の青年会議所メンバーに対しては、各LOMが地元へ持ち帰ってすぐに実践できる“DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した地域創生ノウハウ”など、次世代の運動手法を共有しました。
また、“東京ミライフェス”に来場した2万人以上の市民に対しては、東京の発信力を最大限に活用し、全国各地のLOMや自治体が地元の名産品・魅力をアピールできるブースを設置。東京という場を使って地方の地域益を創出する工夫をしたのです。




全国各地のLOMや自治体が地元の名産品・魅力をアピールできる記念事業ブースの様子
▼具体的な大会日程や各種フォーラム・展示ブースなどの詳細なプログラムにつきましては、下記よりご覧ください。
東京大会がもたらした価値とは?
3年に及ぶ準備とコロナ禍の困難を乗り越え完遂された第72回全国大会東京大会。この巨大プロジェクトがもたらした真の価値とは何だったのでしょうか。
1.街と社会に残った価値:東京から全国へ広がる“運動モデル”と強固な官民連携
第72回全国大会東京大会がもたらした最大の価値は、東京で構築された先進的なまちづくりの手法が、類似した課題を抱える全国の自治体や地方LOMへと波及し、日本全体で持続可能な運動として広がっていく“仕組み”が生まれたことです。
東京青年会議所では、毎年23の地区委員会が各区の行政や民間企業と協業し、最先端の社会課題解決モデルを作り上げています。東京大会は、そのモデルを全国のLOMに持ち帰ってもらうことを意識したプログラムを展開したことで、単なる成果発表にとどまらない“全国規模のノウハウ共有のプラットフォーム”となりました。
また、主管益という観点でも、大会構築のプロセスを通じ、50年以上にわたり築かれてきた行政との深い信頼関係を再認識する機会ともなりました。行政や民間企業との共創関係は大会を経てより強固なものとなり、2024年以降の継続的な運動へとつながっています。
2.メンバーに残ったもの:極限状態で鍛え抜かれた“リーダーシップ”と“仕事のOS”
地区事業、本業(社業)、家庭を並行して担いながら、己の限界を突破して挑んだ全国大会の準備を通じ、メンバー自身も大きく成長を遂げました。
記念事業(東京ミライフェス)担当理事を務めた若林真喜子先輩は、行政との交渉に何度も通い詰め、泥臭く熱意を伝える“足で稼ぐプロセス”を経て、“度胸”と“関係構築力”が鍛え上げられたと語ります。
また、第72回全国大会実行委員長を務めた大人慶太先輩は、メンバー一人ひとりに協力を仰ぐ理由を丁寧に伝え、共に過ごす時間を重ねることでチームの一体感を創出。“周囲を巻き込む力”を磨き上げました。
さらに、大人先輩は東京青年会議所での活動を通じて日々の仕事の進め方(実務のOS)そのものを大きく進化させました。2017〜2018年頃、まだ多くの職場や団体でスプレッドシート等のクラウド共有が浸透していなかった時期に、先んじてその活用法を習得。大会運営においては共有フォルダに資料を格納し、全員が内容を把握した上で議論に入る“事前準備・共有文化”を徹底したほか、AI等の最先端スキルもいち早く取り入れ、自社の業務に活かしました。※
※『東京青年会議所 創立75周年記念誌』(P.51〜)掲載の大人先輩インタビューより

プレッシャーの中で挑み続けた3年間。第72回全国大会東京大会という巨大プロジェクトを通じ、メンバー一人ひとりがリーダーとして、そして一人のビジネスパーソンとして、“一皮むけた”のです。
未来へと継承される、東京青年会議所の情熱
第72回全国大会東京大会は、3日間の会期を終えて、“過去の思い出”として完結したわけではありません。
開催から5年が経過する2028年には、第72回全国大会東京大会がもたらした価値や成果(五益)について、現役メンバーによる客観的な効果検証が行われることが決まっているのです。
私たちの挑戦は、“明るい豊かな社会”の実現に向けてこれからも力強く続いていきます。
本コラムを通じ、私たちが大切にしている地域・社会への情熱や、青年会議所の活動に少しでも関心を持っていただけたなら幸いです。
舞台裏の熱気を映像で!ドキュメンタリー公開中
コラムでお伝えしきれなかったメンバーのリアルな葛藤や当日の熱気を追ったドキュメンタリー(全4編)です。ぜひあわせてご覧ください。



