

公益社団法人東京⻘年会議所
第74代理事長 下山田 敬介
私はいつの時代にもJCにしかできない運動があると考えます。現代社会では地球規模で課題が複雑化していますが、社会課題解決に70年以上も取り組んできた私たちだからこそ、いま社会に求められる先駆的な運動を生み出すことができます。
JCIの一番初めの国際事業は近代史の快挙と深いつながりがあります。1927年に⻘年会議所は第一次世界大戦から復興最中であったヨーロッパ市⺠宛に、全米から平和の手紙を届ける事業を実施しました。本事業にて手紙を飛行機で届けた⻘年会議所メンバーのチャールズ・リンドバーグ氏は、無着陸での大⻄洋単独横断飛行に世界で初めて成功し、多くの注目を集めることとなりました。この事業は黎明期であった航空業界の歴史的快挙を、意図して事業企画に組み込み社会に大きなインパクトを与えたのです。まさに当時のJCにしか実現できなかった運動の代表例です。
JCI東京では小松川運動やわんぱく相撲といった、各時代において課題解決をパートナーと共に達成し、「明るい豊かな社会の実現」を追求してきました。そして「明るい豊かな社会の実現」は時代と共に変貌し、いま目指すべき社会像は、輝く個性が調和する持続可能な地域の創造なのです。
この社会像では量的から質的への価値観の転換が進み、誰もが社会の構成員であることを自覚していて、生きがいや達成感を求めて自由に挑戦し、尊厳と向上心を持って幸せに生きています。まさに私たちの思い描いた未来を実現する、中⻑期ビジョンの達成です。このビジョンを達成するために、社会のあらゆるステークホルダーと共に、⻘年ならでは柔軟な思考と行動力を駆使して、新たな価値を生み出していく必要があります。
私たちの先輩諸兄姉が戦後の荒廃から、「新⽇本の再建は我々⻘年の仕事である。」とJC運動を興した時代背景は違えども、私たちは責任世代として地域を憂い、国を想い、果敢に社会課題と対峙し、その過程の中で次世代のリーダー達を育成することで、この国の明⽇を切り拓いていくのです。
先駆ける、新たな価値で社会を満たす
東京の現状や課題を⼀番理解している私たちだからこそ、地域特性を反映した運動展開により、東京をより良くする新たな価値を創出することができます。私たちの街、東京は多くの⼈々を魅了し、多様性を育みながら成⻑してきました。今⽇の東京は世界でも有数の経済圏と⼈⼝を擁する国際都市であり、⽇本の経済、政治、⽂化の中⼼地として栄えています。
しかしながら新型コロナウイルス感染拡⼤の影響を受け、私たちの⽣活様式や価値観は急激な変化を遂げました。デジタルインフラの利⽤増加や家庭環境への投資拡⼤により、2021年の東京への転⼊者数は過去最低となり、逆に転出者数は過去最⼤となりました。2022年は回復傾向を⽰していますが、近い将来には⼈⼝減少と少⼦⾼齢化により東京への流⼊⼈⼝は低下し、東京の⽣産性と影響⼒は低下してしまいます。東京の影響⼒低下は直ちに⽇本の国⼒損失につながりますので、東京も全国の都市と共に魅⼒溢れる持続可能な街を創っていく必要があります。
23特別区で全ての⾏政とカウンターパートを組み、年間100以上の事業を⼀度に展開できる⾏動⼒は、JCI東京だけの強みです。この⻑所を活かし、各々の政策の下に23区で最先端のコミュニティを構築し、質的価値への共感を拡げる新たな価値を創造していきます。先ずはやってみる、後に改善点のブラッシュアップを重ね、地域に根付く運動⼿法へと昇華させましょう。私たち⾃⾝が過去の検証結果に真摯に向き合い、失敗を恐れずに挑戦できる⾵⼟と仕組み作りを運動と運営の両⾯から実践し、新たな価値で社会を満たしましょう。
レガシーを創造しよう
記念事業を変⾰の起点に
JC運動は全国と東京の共存共栄への懸け橋となることができる、⼤きなポテンシャルを秘めています。2023年に公益社団法⼈⽇本⻘年会議所の第72回全国⼤会が東京で開催され、全国から志と理念を共有する多くの仲間たちが東京に集います。主管LOMとして全国⼤会の運営もさることながら、東京にレガシーを残す記念事業として、全てのメンバーが街をより良くするリーダーとして構築してきた運動を、新社会システムとして全国に発信します。この全国⼤会を発信の場として最⼤限活⽤することで、私たちのJC運動を全国へ効果的に展開することができるのです。
その過程で課題やビジョンを共有する⼈々と地域がつながり、社会課題の解決に向けた未来志向の協働関係が醸成されます。持続可能な幸福中⼼社会の実現に向けて、JCの持つネットワークを余すことなく活⽤し、将来を⾒据えた運動基盤を造りましょう。そして⻘年ならではの柔軟な思考と⾏動⼒を、メタバースといった最先端要素を掛け合わせたシナジー効果で社会にインパクトを⽣み出し、私たちのレガシーを創造しましょう。
例会の軌跡を記念事業につなげよう
例会は社会に対して運動を発信する⾯と、例会構築に関わるメンバーの成⻑を促す⾯を兼ね備えています。現在、JCI東京では中⻑期ビジョン達成に向けた6つの政策を展開しているのみならず、会員の指導⼒開発を⽬的とした事業も展開しています。この社会開発と指導⼒開発の両⾯を意識して使い分け、メンバーと社会からも共感を得られる例会を構築しましょう。またメンバーが例会に参加する意義や⽬的を理解し、例会への参加率を⾼めることにより、JCI東京にとって最⼤の運動発信の場となる全国⼤会記念事業につながる、⼀体感のある例会をメンバーと共に開催することができます。オフラインとオンラインの効果を⾒定め、社会にもメンバーにも有益な時間と場を提供していきましょう。
例会を構築する際には講師や協賛企業を含め多くの親和性の⾼いパートナー達と協働していきますので、例会は会員拡⼤とJC運動への参加者を増やす機会です。2022年度の7⽉例会では多くのパートナー団体と共に、JCI東京の共⽣運動に参画する諸団体の取り組みをブースとして展⽰しました。講師の話から学びを得るだけでなく、現地での例会参加者にとって、五感を通した深い学びを提供することができました。パートナーの持つ、社会にインパクトを与える発信⼒、産官学への影響⼒、運動の規模を昇華させる資⾦⼒を戦略的に活⽤していきましょう。
⽇本を先駆けた運動を展開しよう
全国⼤会の想い出は⼀⽣涯の宝物
私たちはJCI東京として全国⼤会を構築する運命共同体であり、その運動は⼀⽣涯の想い出となります。全国⼤会は単年度で運営されているJC運動の成果を⾒極め、次年度に向けて継承をする場であります。全国から集まったメンバー間で育まれた友情や、JC運動を通した成⻑や結果といった、かけがえのない成果物の終着点が、私たちの住み暮らす東京となるのです。特に40歳で卒業を迎えるJCメンバーにとって、JCライフの集⼤成を飾る全国⼤会は特別な意味合いを持ちます。32年ぶりに全国⼤会が東京で開催する意味を理解した上で、創始のLOMとしての在り⽅を⽰し、全国のメンバーに東京の魅⼒を存分に味わってもらう⼤会を構築していきましょう。
また本⼤会は時代に即した持続可能な全国⼤会を構築する絶好の機会です。5益(社会益、地域益、参加者益、主管益、主催益)を持続可能性という観点から紐解き、「地球と⼈」や「⼈と⼈」を尊重する共⽣型社会を意識した⼤会構築の仕組みを取り⼊れ、パートナーや関係諸団体から多くの賛同を獲得していきましょう。その結果、JCI東京の社会的認知度は向上し、JCI東京の運動を昇華する環境を整備することができるのです。皆さんもご存じの通り、JCI東京にとって全国⼤会を開催することがゴールではありません。全国⼤会を開催した後に、JCI東京がより社会にインパクトを与えられる組織に進化している必要があるのです。
組織的に巻き込み、地域をより良くするリーダーを育成しよう
強靭な意思と⾏動⼒が伴う個が集う組織は社会を変える⼒を持ちます。そして全国⼤会を開催するにあたり、JCI東京は社会から⼤きな注⽬を浴びることになりますので、私たちの運動に参画する⻘年を増やす、千載⼀遇の機会を活かすことができます。特に全国⼤会に向けて多くの関係団体と協働することになりますので、全メンバーがJCI東京の志と理念を理解している状態を⽬指す必要があります。
情報と機会は待っていても獲得できるものではありません。先ずは各メンバーがキャリアプランを描き、各々の夢を組織として後押ししたいと思います。JCIではメンバーに対して4つの機会を平等に提供することを推奨しています。社会開発の機会、能⼒開発の機会、ビジネスと起業の機会、国際協⼒の機会です。JCには能⼒開発のための公式トレーニングプログラムを展開しており、事業やJC活動を通して社業に活かせる経験を積むことができます。メンバーの成⻑とリーダーシップがJCI東京の社会との約束です。メンバーの成⻑とリーダーシップが、街をより良くするために動いたとき、地域社会で共感の連鎖が⽣まれ、JC運動に参画したいと思う⼈が増えていくのです。同じ志を持った仲間を増やし、JCI東京が社会により⼤きなインパクトを与えられる組織へと成⻑させていきましょう。
同じ志を持った仲間を増やすためには、JC運動の魅⼒を伝え共感してもらい賛同を得なければいけません。仲間が増えると運動が加速し、社会に対する影響⼒が増すため、組織としての⼒が向上します。⼀⽅で、せっかく機会を経てJC運動を知った⼈でも、運営⾯の不備で離脱していくことも少なからず発⽣しています。拡⼤拡充でアクティブメンバーを増やし、運動効果を⾼める攻めの組織と、機会を逃さず抜け漏れがないフォローアップを⾏う守りの運営が、表裏⼀体で実現できたとき、これまでにない組織としての⼒が発揮されるでしょう。
新しい価値を東京から⽣み出そう
地球と⼈の共⽣型社会
地球温暖化は地球規模課題であり、私は企業がイノベーションを展開する⾏動⼒と、消費者の購買意欲を促す官⺠のインセンティブ作りが必要と考えます。SDGsやESG投資に代表されるように、今⽇の経済活動には既にエシカルな視点が求められています。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡⼤の影響を受け原材料費や輸出⼊費⽤のコストアップが進み、ロシア・ウクライナ紛争を発端として⾷料やエネルギー価格の⾼騰が世界規模で続いています。その結果、⽇本ではコストプッシュ型インフレによる家計の圧迫が進み、コスト⾼であるエシカル消費が社会全体に浸透しにくくなっているのも事実です。JCI東京では2021年に2050カーボンニュートラル宣⾔を⾏いました。現在では20のパートナー団体と共にこの宣⾔を推進しており、全国⼤会はこの宣⾔を全国規模で推進する絶好の機会です。まずは私たちから⽣産者と消費者の観点でエシカルな⾏動を取り、JC運動では全国⼤会や例会運営にて「地球と⼈」の観点を取り⼊れましょう。
カーボンニュートラルを⾃治体レベルで考えると、都内で14区がゼロエミッション宣⾔を⾏い、J-クレジット制度を導⼊して⼆酸化炭素の排出権を他県から購⼊しています。しかしながら、現⾏制度では設備投資による⼆酸化炭素削減と、森林による⼆酸化炭素吸収量による排出権取引のみが対象となっており、企業活動による⼆酸化炭素削減は制度の対象となっておりません。⽇々の企業活動による⼆酸化炭素削減量は都市鉱⼭同様に活⽤されていない宝の⼭であります。そして企業活動による⼆酸化炭素削減によるインセンティブを付与することで、より多くの企業がエシカルな経営改⾰に参画するようになりますし、ゼロエミッションに寄与するイノベーション醸成につながります。産官学の連携で地域循環型のゼロエミッションを推進できる仕組みを共に創ってまいりましょう。
レジリエンスに富んだ経営改⾰を拡げよう
JCI東京の設⽴趣意書に掲げられる、国内経済の充実と国際経済との密接なる提携に鑑みても、国内経済の充実は今⽇の社会においても求められています。2021年の⽇本経済の成⻑率は前年度⽐1.6%に留まり、コロナ前の実質GDPの⽔準には回復していません。欧⽶と⽐べて内需の低迷が指摘されており、⽇本経済を⽀える中⼩企業の⾼付加価値化が求められています。しかしながら、中⼩企業にはまだ潜在的な伸び代があります。SXを念頭に置いたDXを進めることで、中⼩企業の作業効率化が進み、イノベーション創造や⾼付加価値化を追求できる資本を獲得できるからです。そして健康経営をウェルビーイングの⼀環として浸透させることで、質の向上を追求する働き⽅改⾰も促進され、レジリエンスに富んだ企業を⽣み出していくことができるのです。このような持続可能な幸福中⼼社会を⽬指した経済政策は、JCIRISEの⽅向性にも沿っているため、JCI東京モデルが国際的に評価され拡散されるポテンシャルを多く秘めています。⽇本経済の中⼼地である東京から、⽇本を元気にする企業を増やしていきましょう。
JCI東京だから国際的に協働できる
今⽇の世界を⾒渡せば、コロナ禍の影響により地域経済は⼤きなダメージを受け、ロシア・ウクライナ紛争を発端に世界規模でのインフレーションが発⽣しています。このような社会情勢だからこそ、JCI東京は国際的な協働関係構築に取り組む必要があります。東京には各国の⼤使館や商⼯会議所が集っており、多様な外国⼈コミュニティが存在しています。
このコミュニティと協働することで、イノベーションを⽣み易い環境を作り、東京から地球規模課題への解決に向けた⾏動を各国と共に取ることができます。特にイノベーション創出というテーマにおいては、各国⻘年経済⼈と協働関係を構築するため、JCICYEプログラムといった国際的なビジネスの機会を活⽤していきましょう。
また外国⼈コミュニティとの協働関係構築は、ジャパニフィケーションの脱却に有効な⼿段です。特に2030年以降、中国が⼈⼝減少社会に突⼊しますので、優れた⼈財や労働⼒の獲得は⽇本にとって⽣命線となります。持続可能な⽇本経済の⾼付加価値化に向け、優れた⼈財を世界規模で獲得するには、⾼度⼈財が東京を住みやすい街として認識してもらう必要があるのです。姉妹都市や姉妹LOM連携を活⽤した⺠間外交とサブナショナル外交を通して、東京のファンを世界中に増やしていきましょう。
JCのスケールメリットを活かそう
私はJCの持つネットワークを駆使することで、地球規模課題に向けた協働関係が構築できると考えます。JCの持つネットワークを活⽤することで、LOM間の連携によるJC運動の昇華はもとより、地域や国境を越えたメンバー間の友情を育むことができ、JCI東京はより多様性に富んだ強固な組織となります。特に全国⼤会主管LOMとして注⽬を集める年だからこそ、全国のLOMと情報交換や協働関係をより強固に構築することができます。他LOMとの協働関係を築き、⾼付加価値化に成功したJCI東京モデルを広く発信していきましょう。
私は多くのメンバーが出向を経験することで、持続可能な幸福中⼼社会の実現を牽引するリーダーを輩出できると信じています。私もJCIやJCI⽇本に出向をさせていただき、多くの成⻑と発展の機会を享受いたしました。その経験や仲間との出会いが、今の私を形成していると⾔っても過⾔ではありません。そしてLOMを背負って⽇々頑張っている、出向メンバーの⽀援を⼿厚く⾏うことで、全国⼤会を主管するLOMとしての本分を果たせます。出向者が進める運動や事業の告知は勿論、積極的にJCIやJCI⽇本の運動に参画していきましょう。JCI東京が展開する事業への参画者を全国規模で募るだけでなく、他LOMの優れた事業を私たちの街で展開することは、JCにしかできないスケールメリットを活かした運動展開と考えます。
ステークホルダーと共に輝こう
地域社会が先導する⼈財育成システム
⼦どもが⾃ら学びたいという意思をもつ主体性、物事を疑問に思う知的好奇⼼、そして⽬標達成のための課題を⾃ら設定できる能⼒が課題創造型⼈財の創出には必要です。またSTEAM教育を推進するにしても、教育現場において学習の動機づけが重要であると考えます。近年、オフライン教育の⼀環として出前授業を含めたアクティブ・ラーニングが取り⼊れられています。渋⾕区⽴加計塚⼩学校では、給⾷から出る⾷物残渣を堆肥化するコンポストボックスを地域住⺠と企業が設置して、学校で使⽤する野菜を児童と⼀緒に栽培するKAKEZUKAFARMというプロジェクトがあります。このプロジェクトはフードロスをなくすことの重要性を教えるだけでなく、地球規模課題に取り組むための科学的⼿段を地域社会が⼀丸となって児童に教えているのです。なぜ学ぶ必要があるのか、学習の本質である動機付けを地域社会と共に考え、⻘年ならではの柔軟な思考で未来を牽引する⼈財の育成⼿法を⽣み出していきましょう。
オフライン教育の利便性を活⽤することで、安価に多様な教育の機会を提供することができます。パソコンとインターネットがあればオンライン留学ができる時代に象徴されるように、ICTを活⽤した多⽂化交流は⼦どもたちの常識をアップデートする機会です。現在東京23区では千代⽥区を除く22区で、姉妹都市若しくは友好都市の協定を結んでいます。この関係性を利⽤することで、⼦どもたちが⾃⾝の街をどのようにしたいのかを考え、学校では学べない多様性を育む機会となることでしょう。多⽂化交流の裾野を広げることで、世界競争⼒ランキングで指摘されている、若者の国際経験の少なさを補う教育システムの構築ができると考えます。
政動社変の権利と責任を国⺠の⼿に
私は、若い⼈が請願と政策提⾔をもっと活発にして、政治を動かし社会を変える原動⼒となることが「明るい豊かな社会の実現」に近づけると考えます。しかしながら、今⽇の投票率を⾒ると、多くの⼈が政治をわが事と捉えていないのが現状です。第⼀次岸⽥内閣が発⾜したのちに⾏われた、2021年10⽉31⽇の第49回衆議院議員総選挙では最終投票率が55.93%となり、戦後3番⽬に低い結果となりました。私は国⺠の⼤半が、⾃分たちの未来を決める⾏動を放棄していることに対して⼤きな危機感を抱いております。JCI東京では主権者教育を若年層に対して実施することが、主体的な政治参画につながると仮説を⽴て、模擬請願や公開討論会といった事業を展開しています。今⼀度、国の未来を決めるのは国⺠⾃⾝であるという主権者意識を、国⺠が取り戻さなければいけないのです。
⾃分たちの声が政治を動かすことができるという事実を市⺠に知ってもらい、ICTを活⽤した請願⼿法を地域で確⽴していくことで、政治をわが事と捉えられる市⺠を増やしていきましょう。また⾏政と強固なパートナーシップがあるJCI東京だからこそ、仮説に基づく政策運動の結果を検証して、政策提⾔を積極的に⾏いましょう。運動を興して検証し、政治を動かして社会を変える、まさにJCだから実現できるのです。
地域間連携が織りなす福祉システムの構築
私は⼈⼝減少社会に⻭⽌めをかけるには、地域が⼀体となり⼦育てをしやすい社会を実現する必要があると考えます。なぜならば、⼦どもを育てやすい社会の実現は、持続可能な幸福中⼼社会を追求できる必要最低条件だからです。しかしながら、コロナ禍で社会的距離を取ることが常習化され、2021年度の出⽣率は統計上初めて80万⼈を下回り、少⼦⾼齢化による⼈⼝減少社会に拍⾞がかかっています。JCI⽇本では2021年から富⼭県を⽪切りに、全国規模で⼦育てしやすい社会の実現を⽬指し、⾏政と賛同企業と共にべビーファースト運動を推進しています。このムーブメントの特⾊は地域の企業と⾏政を巻き込み、地域特性を反映し、地域が⼀丸となり⼦どもを育てやすい企画を展開できることです。まさに地域に根付いた運動を展開する私たちだからこそ、23区全体のスケールメリットを活かし、⼦どもを育てやすい社会を実現しましょう。
また災害発⽣時にこそ地域の相互扶助関係の充実性と迅速な復旧活動体制が問われます。そして災害が発⽣した際に、被災地に想いを寄せ直ぐに⾏動をとるのが全国にいるJCの仲間たちです。東⽇本⼤震災や九州豪⾬災害の時も、被災地には全国から集まったJCの⽀援がありました。現在、JCI東京では⾜⽴区で、JCI東京と⾏政と社会福祉協議会の間で災害防災協定を結んでいます。災害発⽣時には重機、ボランティア、⽀援物資がJCの持つ全国規模の災害⽀援ネットワークを通して集まります。これらの⽀援を円滑に活⽤すべく、JCI東京が地域社会と全国規模の災害ネットワークの窓⼝となるのです。また平時より災害に強い街創りについて⾏政や市⺠と対話を重ねることで、地域社会の相互扶助関係の向上につながります。JCの持つスケールメリットを活かし、レジリエンスを兼ね備えた魅⼒あふれる街を創りましょう。縦割りの福祉社会に横軸を通せるのは、地域社会に根付いた運動を展開しているJCI東京だからこそ実現できると考えます。
JCI東京のストーリーこそ輝きの原点
73年間に渡り社会を先駆け、「明るい豊かな社会の実現」を⽬指すJC運動は、時代を越えて紡がれる、⻘年の英知と勇気と情熱の集⼤成です。皆さんがご存じの通り、ブランディングは約束です。JCI東京の軌跡はオンリーワンであり、私たちの社会改⾰と⼈財育成の成果は社会に対する約束そのものです。私たちは先⼈たちが残してくれたこの信頼と実績があるから、今⽇のJC運動の恩恵を享受できることを忘れてはいけません。このレガシーを最⼤限に活⽤し、先進的な⻘年経済⼈団体としてステークホルダーと共に、社会に対してメッセージを発していくことで、幅広い層で共感の連鎖を⽣むことができます。様々なチャンネルを通して多くの賛同者を獲得し、JCI東京の掲げる中⻑期ブランディング戦略を達成しましょう。社会を構成するあらゆるセクターで認知度を向上させ、新たな賛同者を得ることで、信頼の実績を基にした運動展開とメンバーの拡⼤につながるのです。
スポーツや武道は⼼⾝の健全な育成を促す効果的な⼿段であり、⾔語や国境を越えて夢や希望を与える機会の提供です。JCI東京では、わんぱく相撲を⻑年に渡り開催し、多くの⼦どもたちに勇気・礼節・感謝を学ぶ機会を提供してきました。各地で開催される地区⼤会を⼼待ちにしている⼦どもたちが全国各地におり、⾏政や市⺠団体からの信頼も厚く、わんぱく相撲全国⼤会はJCI東京のフラッグシップ事業です。またモンゴル国で開催されている、わんぱく相撲モンゴル場所では、現地のパートナーと共に多くの⼦どもたちに夢と希望を与える事業にまで成⻑しました。わんぱく相撲が秘める無限の可能性を検証し、国内外のパートナーと共に、わんぱく相撲をJCI東京のブランディングとして活⽤していきましょう。
表裏⼀体の運動と運営
メンバーのエンゲージメントを⾼めることで、⼤きなムーブメントを⽣み出すことができます。そのためにはJC運動に関する情報へのアクセスを容易にすることにより、メンバーのJCI東京へのエンゲージメントを⾼めるのが効果的な⼿段です。またシニアメンバーも現在進⾏形のJC運動を知ることで、シニアの持つネットワークやアセットを利⽤することができます。現在は情報共有の⼿段としてOLFに代表されるイントラネットを使⽤していますが、クラウド等に代表される時代に沿ったツール活⽤を検討していかなければいけません。将来を⾒据えたJCI東京の組織運営を円滑に進めるためのアップデートが必要不可⽋です。
どんなに効果的な社会改⾰運動を興したとしても、共感者を得られない運動は持続可能ではありません。JC運動への⼈的⽀援も⾮常に重要な賛同⼿段ですが、協賛を集めることも⼤きな意味合いを持ちます。特に2023年は全国⼤会を開催いたしますので、JCIの持つスケールメリットを活かし、2023年以降も継続した協賛を得られるパートナーシップを地区委員会ベースでも作ってまいりましょう。
To Be the Top of the Edge
私はメンバーの⼈⽣がJCを通してより幸せになり、メンバーが東京をより良くするリーダーとなることを信じています。それはJCの使命が、⻘年の成⻑を促し、⻘年⾃⾝で街をより良くする運動を作れるようにすることだからです。
JCはよくスポーツジムに例えられます。
ただJCに在籍しているだけでは強くなれない。
⾃ら機会を掴み、修養に励まなければいけない。
私たちは誰のため、何をより良くしようと想い、JCをしているのでしょうか。
この73年間、常に社会をより良くしようと想い、運動を興し続けてきたJCI東京の軌跡は、決して砂上の楼閣ではありません。私たちは、いつの時代も⻘年が灯し続けてきた希望の光を託されているのです。
私は希望の光を託された同志の⼀⼈として断⾔します。
東京は私たちの成⻑とリーダーシップを待ち望んでいます。
未来予想が困難な時代であっても、誰もが尊く幸せに⽣きていくために、
公益社団法人東京⻘年会議所
幸福を実感できる東京を⽬指し、世界をリードする⾰新的な⻘年経済⼈団体となろう。
私たちには志を共有できる仲間がいる。
仲間と共に活動し、⼈と⼈、地域と地域を結んでいこう。
未来は⾃分たちの⾏動で創るという想いが集う時、
今⽇の東京は昨⽇よりも、確実に良くなっている。
第74代理事長 下山田 敬介